2014年08月16日

疑似科学にまつわる懸念 ― 疑似科学ではない超音波知覚と疑似科学である動物駆除超音波装置を例に ―

【読者の皆様への再度のお願い】(2015年3月10日 追記)

 2015年3月9日以降報道されている兵庫県洲本市での事件について、被疑者(本日時点)が国家や近所による電磁波攻撃の被害なるものを主にインターネット上で主張し、妄想性障害による通院歴があることが判明したことが影響してか、このブログ記事や他の特定のブログ記事へのアクセス数が急増しております。

 また、以前より共感覚や超音波知覚をこういった電磁波攻撃の話題と結びつけるような内容のご連絡を多々頂いており、共感覚攻撃なるものによる犯人退治を依頼されたり、逆に共感覚攻撃なるものをやめるよう要求されたりしております。

 共感覚者や超音波知覚者の感覚は、元よりこういった話題とは一切関係がなく、すでに神経科学などの分野で検証・研究されているもので、精神病理学上の統合失調症や妄想性障害とは全く異なります。

 読者の皆様におかれましても、今一度、最低限の良識と学識をお持ちいただくよう強く求めます。


【注意勧告】当コミュニティが疑似科学団体や電磁波攻撃・テクノロジー犯罪被害者団体と友好関係にあるかのように紹介されている事例に対する注意勧告、および統合失調症や妄想性障害の既往歴・現病歴の確認のお願い
(「超音波知覚者コミュニティ東京」内)



↓ 以下、追記前の本文

 すでに分かっていらっしゃる方には、何だ今さらそんなことを書くのかと笑われそうなことを今から書くのですが、いわゆる疑似科学・オカルト科学にまつわる重要なことを書いておきたいと思います。

 読む人が読むと笑うかもしれませんが、私が個人的に優先的に手助けしていきたい方々(統合失調症者など)のためにもまじめに書きますので、よろしくお願い致します。

 私は、聴覚では聞こえない音域の超音波(自動ドアセンサーや動物駆除効果を謳う装置から発生している超音波など)が共感覚で見える(色で聞こえる)知覚を持っていたり(「超音波知覚」)、勝手ながら「超音波知覚者コミュニティ東京」なるミニサークルを作り、不定期で都内の超音波発生装置の設置場所を見つける散策をおこなったりしていますが、今でも超能力者やヒーリングカウンセラー、自己啓発セミナー講師などと間違われます。

超音波知覚者コミュニティ東京
http://iwasakijunichi.net/choonpa/

超音波知覚やモスキート音知覚に関するリンクのメモ
http://iwasaki-j.sblo.jp/article/99760523.html

音域表と聴覚・共感覚(PDF)
http://iwasakijunichi.net/ronbun_ippan/onpa_chokaku_synaesthesia.pdf

 実は私自身は、今の和製英語的な「オカルト」概念は好みませんが、神秘学・隠秘学としてのオカルティズムには関心がありますし、宗教についても正統派だけでなく秘教・密教も好きだったり、絵画についても象徴派・耽美派・オカルティズム絵画が好きだったりと、異端派・アウトサイダー的な趣味が多いわけですが、今から書こうとすることは、それともまた違っています。

 普段はメールでのご質問やご相談が中心ですが、最近は掲示板にも、ご相談というか、私のこの知覚のサイトでの扱いに呼応したと見られるその人なりの精神的な叫びのような書き込みがありました。(「超音波テロの被害者」様の書き込み)

 最近、私の超音波知覚や「超音波知覚者コミュニティ」が、超能力関連の掲示板などで紹介・リンクされたり、「岩崎純一さんという超能力者のサイトがおすすめです」といった推薦のされ方をしているのを見て、非常に気になるので、書いてみようと思います。

 もちろん、それぞれの方々の色々な身体的・精神的な症状が収まって健康になれるよう願っているのは確かですし、メールや掲示板でもそう書いてはいますが、そういった誰にでも言えそうな挨拶程度の一般論で終わらせるのも無責任な気がしますし、正確さや冷静さを追求すべき物理学や宗教学や精神病理学の議論である以上、是正すべきところは是正すべきだと考えますので、書いておきます。

 超音波知覚者コミュニティのページにも、執拗なくらいに色々と学術的な解説を書いてしまっていますので、全てお読みいただければ、リピーターとなって下さるご訪問者が必然的に、私と同様の知覚者やこの知覚に学術的に関心がある方に絞られるはずなのですが(あえてそれを狙って書いているのですが)、特に物理学的知識を要しない箇所も読まずに超能力セラピーなどをお求めになる方などがいらっしゃいますので、このブログでも一応解説しておきます。


◆超音波と電磁波の混同

 これが基本的には最も多い誤解ですが、私の超音波知覚はいわゆる「電磁波過敏症」や「化学物質過敏症」ではありません。電磁波過敏症や化学物質過敏症の存在が真実か虚偽かにかかわらず(私はこれらはあると考えていますが)、物理現象としての実体が異なるということです。

 私が述べてみたいこと(いつも感じていること)は、超音波や電磁波を物理学的に理解できない人が駄目だということではなく、その分だけ簡単にカルト宗教や詐欺に引っかかりやすいということであり、「超音波と電磁波は異なる」ということをサイトの色々な箇所で書いているにもかかわらず、「あなた(岩崎さん)の能力は電磁波感知能力だ」といった主張が来る点に、本来あるべきルートを外れた懸念を感じるといった意味です。


◆オカルト科学であるものを真実であると信じる誤解
(超音波による動物駆除機器に効果がないことは検証済み)

 まず、ヒトの超音波知覚はあり得ないとする誤解の前に、超音波がゴキブリやネズミなどの動物を撃退するという逆のオカルト的誤解があることを強調しておきたいと思います。

 これについては、以前より「日本政府当局(公正取引委員会や消費者庁)や各超音波関連学会が、超音波による動物駆除効果に疑義を呈しており、実際に販売されている超音波発生機器を使った検証実験などによりその疑義が確証されたため、効果を捏造するなどの悪質な景品表示法違反や詐欺をおこなった事業者に対しては、公的に処分が下されている」事実をもって、啓蒙がなされていくほかないと思っています。

 日本でも、この効果を信じた個人やスーパーマーケット事業者が、自宅の玄関先や店内に超音波機器を設置している光景をよく見かけますし、ネット上の掲示板やYahoo!知恵袋でも、この効果を信じた人たちが過去の学術的知見を全く参照せずに議論していますが、私は、「ない効果をあると信じること」は、「(あることが証明されている)超音波知覚や共感覚など存在しないと信じること」と同様に、誤ったカルト宗教的信念だと思っています。

政府機関(公正取引委員会・消費者庁等)や科学者が注意勧告している超音波発生機器製造・販売業者の違法・悪質行為について
http://iwasakijunichi.net/choonpa/iho.html

超音波知覚やモスキート音知覚に関するリンクのメモ(ネット上のQ&Aやまとめ、超音波発生装置に害虫除け効果が認められないことを検証した科学実験)
http://iwasaki-j.sblo.jp/article/99760523.html

 若者のたむろ防止用に設置している場合は、設置者側もそれを「音波・モスキート音による効果」と分かって設置しているので、それは意味があることになりますし、全く別の話題だということになります。


◆真実であるものをオカルト科学であると信じる誤解
(「超音波は鼓膜を通しては聞こえない」というだけで、「超音波はヒトにも知覚できる」)

 私が扱っている超音波知覚(広義では共感覚の一種と見ることもできる)は、既存の神経科学・生物学・物理学・音声学の分野であり、確かに日本では研究が遅れており、海外でばかり研究が進展している分野ではありますが、私は「一般の人に見えない超常現象や天変地異が私には見える」と述べているのではありません。

 むしろ、この超音波知覚のうち最もよく知られたものには、骨伝導に基づく骨導超音波があり、健常者だけでなく感音性難聴者にも超音波が聴覚として聞こえるため、医学的に応用されつつあるものです。ハーバード大やマサチューセッツ工科大が研究の最先端を担っていますが、日本でも産業技術総合研究所が骨導超音波の高度な技術を有しています。


◆電磁波盗聴・超音波盗聴・電磁波テロ・超音波テロなど(の存在未証明の犯罪・テロ行為)に関するご相談についての私見

 上記のことと関連するというか、ほぼ同じことなのですが、 電磁波や超音波による犯罪・テロなるものについてのご相談も時々来ます。ネットでこれら「電磁波盗聴」などを検索すると、そのような被害を受けたと主張する人たちの相談や、そういう人たちを騙して盗聴防止機器を売りつける詐欺サイトなどが引っかかります。今回の掲示板への「超音波テロの被害者」様の書き込みも、そのような「テロ行為」の告発の一環だと思われます。

 電磁波や超音波を用いた犯罪・テロ行為については、これらを信じる人たちを最初から否定して統合失調症の疑いをかける精神科医もいることはいますが、まずは現実に行われている電磁波・超音波による犯罪・テロの研究について、書いておくことにします。

 私も個人的には、世界で行われている信じがたい犯罪技術、軍事・テロ技術研究やそれらについての論文・裏話などに興味があるのは確かです。

 例えば、超音波を頭蓋骨・脳内に直接照射する軍事・テロ技術の分野では、米軍や米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)などが共同開発 している、経頭蓋超音波(パルス波)を利用した兵士の士気のコントロール技術、兵士への情報伝達技術や、そういった技術のテロリストらの自爆願望の鼓舞への転用などについては、私も注目してきました。

DARPA(兵士の脳に埋め込む超音波情報受信装置や超音波マインドコントロールデバイスを開発している。)
http://www.darpa.mil/default.aspx

 また、電磁波聴覚については、例えば軍事レーダーのパルス波が起こすフレイ効果によって脳内で発生するマイクロ波聴覚の研究などを追っています。米軍・米諜報機関・WHO・米国科学者連盟などの米国の機関を中心に、軍事目的での研究(とりわけ電子戦での利用を目的とした研究)が続けられています。

マイクロ波聴覚効果(フレイ効果・Microwave auditory effect)
http://en.wikipedia.org/wiki/Microwave_auditory_effect

脳内音声兵器
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E5%86%85%E9%9F%B3%E5%A3%B0%E5%85%B5%E5%99%A8

電磁波聴覚に関するツイート
http://iwasakijunichi.net/choonpa/new.html

 ただし、これは「すでにある技術研究」をはたから見て楽しんで勉強しているだけであり、「電磁波が聴覚で聞こえたり超音波が視覚で見えたりするはずがない」という信念のほうが非科学的・カルト宗教的信念であることになります。

 ただし、既存の世界中の論文や検証実験データにないことを信じるかどうか、また自分がテロの被害を受けていると信じるかどうかといった話題は、残念ながらさらに別の分野のものだと言うほかないと思います。

 電磁波や超音波による攻撃を受けていると主張し、なおかつ文面・文脈の全体にそれを盲目的に信じる傾向が見られる人については、やはり精神科を勧めることになります。統合失調症者に典型的に見られる思考奪取・思考伝播・思考化声などの妄想・幻聴の最も典型的な例が、この超音波・電磁波攻撃被害の主張となっています。

 こうなると、現実の超音波や電磁波の研究とは全く関係がありませんので、精神病理学の分野となってしまいますし、私個人としては、統合失調症者は、学術上の知見を参照せずに超能力セラピーなどを求めて来られる方々よりも優先的に接したり手助けしたりしたい人たちです。

統合失調症
http://iwasakijunichi.net/seishin/togo.html