2016年05月01日

著作権・著作者人格権侵害問題の記録と考察

 最近、知的財産権(著作権、肖像権)や著作者人格権について改めて考えさせられる案件に三つほど遭遇しました。
 権利侵害者への警告というよりは、著作物や肖像、人格なる概念をめぐる人間の意識や行動の不思議さ・面白さの記録・考察として、今回の記事を書いておきたいと思います。
 私は常々、人間がこのような行動をとるのは、人間の深層意識にある「自己愛」や「羨望」のためではなかろうかと考えています。それらによって発生する法的事態を「著作権法違反」などと呼称しているだけであって、私も含めて誰でも起こしうる事態だと思います。
 私は、こういった問題にはかなり(自分にも他人にも)シビアで、サイトで使っている画像の一枚たりとも権利侵害がないように注意しています。
 従って、今後とも権利侵害者には指摘を続けていきますが、権利侵害者を責め立てることではなく、自分自身が人間心理を勉強することを主眼に置いていきたいと思います。


■案件1

◆概要
 最近、私を含む数名(私以外は大学教授で、共感覚を研究)が、共感覚について、ある雑誌の取材を受けたが、うち一名の教授の公式サイト(大学のサーバー)の隠しページに、該当する全ページが複製され、一週間に渡りアップロードされていた。ただし、パスワード無しでの掲載で、不特定多数の人間が閲覧可能であった。(だからこそ、私もすぐに発見できた。)
 この雑誌は週刊誌であり、アップロード期間は次号発売までの期間に該当する。私の顔写真も掲載されていた。

◆法的観点
 ありとあらゆる知的財産権(著作権、肖像権)や著作者人格権、パブリシティ権に違反していることになる。
 まずは無論、雑誌社の出版権(著作権の一つ)やライターの著作権に対する侵害になる。また、私の顔写真の部分については、私の肖像権と写真の撮影者の著作権の両方に対する侵害になる。イラスト部分についてはイラストレーターの著作権に対する侵害になる。
 いずれの点を見ても、「引用」や「私的使用」の範囲を大きく逸脱する行為である。

◆親告と対応の結果
 上記の旨を雑誌社の担当者に報告したところ、雑誌社が当該大学教授に削除を要請し、削除がなされた。担当教授の主張では、学生が自身(教授)のサイトにアップロードしたものであり、学生には「すぐに削除するように」と指導したが、削除されておらず、自身は削除されていない事実を知らなかったとしている。

◆考えうる最悪の結果
 権利侵害者側は、結果的にその雑誌の発売週の売り上げ(雑誌に関わる権利保持者の生活)や被掲載者の複数の権利に損害を与えていることになり、そのことが証明されれば、一度に損害賠償を請求されるおそれがある。
 また、アップロードの経緯から、責任の所在が不明確・煩雑になるおそれがある。


■案件2

◆概要
 以下の知覚・共感覚関連の各ページに掲載している私の共感覚の画像が、ある共感覚セラピストらによって盗用・転載され、「寝たきりの親の面倒を頑張る女性が抱える、稀有な共感覚」や「寝たきりの親がかつて持っていた共感覚の、娘による報告」として掲載され、私とは無関係の実話・美談として創作されていた。
(当該女性たちがつらい境遇の中で苦労して身につけた共感覚や、寝たきりの人が有していた共感覚などとされているものが、全く無関係な私の共感覚であり、かつその共感覚の画像が私のサイトからの盗用であって、その女性たちの著作物であると虚偽の説明を付記されているもの。)
http://iwasakijunichi.net/synaesthesia/

◆法的観点
 著作権法違反であることは明白だが、それ以外に著作者人格権(名誉声望保持権、同一性保持権、氏名表示権)に対する重大な侵害となっている。私が以下のページに記載しているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをも無視している。
http://iwasakijunichi.net/law.html

◆親告と対応の結果
 著作者が著作権を有する著作物を著作者の名誉声望を害する方法で盗用する行為は、著作権および著作者人格権を侵害する行為と見なされることが著作権法において明確に規定されている旨を、当該セラピストらに示した上で、画像および創作ストーリーの削除を要請したが、当該セラピストは応じず。
 後日、当該セラピストらに同様の手法で共感覚画像を盗用され共感覚美談を捏造されていた他の共感覚者(当該セラピストらが主催するセラピーへの参加者であった)も、「自分たちがそのような画像を制作した事実はない」と報告しているが、当該セラピストらの対応はほとんどない。

◆考えうる最悪の結果
 権利侵害者は、当該女性や私の名誉声望に損害を与えており、そのことが証明されれば、一度に損害賠償を請求されるおそれがある。


■案件3

◆概要
 以下の知覚・共感覚関連の各ページに掲載している私の共感覚の画像が、ある作曲家(同人サークル)によって盗用・転載され、同人物の音楽関連の「研究論文」としての公表画像や他の著作物(有料)の「おまけ」として付けられていた。
http://iwasakijunichi.net/synaesthesia/

◆法的観点
 著作権法違反。侵害者が得た利益が直接的に私の共感覚画像の盗用によって発生したものかが焦点となると考えられる。私が以下のページに記載しているクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをも無視している。
http://iwasakijunichi.net/law.html

◆親告と対応の結果
 上記の旨を作曲家に報告の上、画像の削除、および、画像の使用履歴とそれに伴う利益の額・内訳の開示を要求。また、当該画像が私の著作物である旨のサイトのトップページへの掲載を要求。最終的に、画像と発生した利益との直接の因果関係はほとんどないと判断。謝罪もあったため、これ以上の問題視はしないこととした。

◆考えうる最悪の結果
 私人どうしの著作権トラブルとしては、これより問題が大きくなる可能性は小さいと思われるが、権利を侵害された著作者がまじめに法的手段に出た場合は、逆に問題を大きくしようと思えばいくらでも大きくできてしまう。
posted by 岩崎純一 at 16:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 社会論・人生論
この記事へのコメント
高木耕平と申します。
著作権法違反は親告罪なのですね。
日本において親告罪は、あまり有効なルールではない気がします。社会に出て働くと見えてくるのですが、「黙っていても罪にはならない」という意識が強く日本社会に残っています。そのために親告罪自体があまり浄化装置として機能しない現状があります。
その代わり、日本のアニメや文化も隣国に盗まれているようですから、世界ルールの「迷惑は掛け合うのが当たり前」には合っているのでしょう。皮肉ですけど。
親告罪は被害者と加害者の関係を損なうから、あまり好ましくないのですが、これも「仕方ない」なのですね。
岩崎様ぐらい僕に勇気があれば、と思い書き込みしました。
Posted by 高木 耕平 at 2016年05月07日 21:09
以前は、共感覚についての興味深いご報告をありがとうございました。

確かに、日本における親告罪は、被害者に特有の「黙って耐える」心理や集団心理の影響を受けるので、欧米の法体系のようには運用できていませんね。

例えば、親族間の窃盗(「親の財布からお金を盗った」など)も非親告罪にしてしまうと、多くの子供が犯罪者になってしまいますね。

一方で、性犯罪の場合、罪状や加害者の人数によって親告罪かどうかが変わりますが、それでよいのかどうか今でも分かりません。

著作権意識に関しては、国民性・民族性によって同じアジアでも全く違うので、かなり絶望的だという気がします。

今回は、日本人どうしの著作権意識の違いをテーマにしてみましたけれど。
Posted by 岩崎純一 at 2016年05月08日 16:09
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